とちぎテレビ、WRIDGE LIVEによるアマチュアスポーツの低コスト配信
まとめ
株式会社とちぎテレビ(以下、とちぎテレビ)がWRIDGE LIVEを導入し、アマチュアスポーツ配信の運用に少人数運営・低コストで遠隔の中継配信をクラウド上で行うという革新をもたらしている。 とちぎテレビ 満田氏によると、そのWRIDGE LIVEの特徴は以下の3点に集約される。
- マルチ映像を利用した簡単なスポーツ配信の「完成形」と評価される高い完成度
- 少人数運営で操作は遠隔から一人での運用が可能。 台本作成や読み合わせのリハーサルが不要になり圧倒的な時間効率化
- VMixやOBS Studioだと実現が困難だった、「真の素人でも扱える簡単な操作性」
以下、とちぎテレビの満田氏に詳しく話を伺った。
WRIDGE LIVE導入の背景
今回、アマチュアスポーツの配信にWRIDGE LIVEを導入された理由を教えてください。
以前は、アマチュアスポーツの配信は、人件費を含めた配信コストの問題から実現が難しかったのですが、WRIDGE LIVEの導入により人件費、クラウドスイッチャーの運用費を含めてコストが合うようになりました。
今回、アマチュアスポーツの配信としてボルダリングとスラックラインを選ばれた理由を教えてください。
テレビ局として、地域のみなさんの興味があるアマチュアスポーツというものを配信したいという思いをもともと持っていました。
今回、特に注目したのは、ボルダリングとスラックラインなのですが、これらは地上波の放送では放送が殆どない競技でありながら、栃木県の選手が強い競技です。 栃木の選手が強いスポーツは今後も配信したいと思っています。
使用感と運用方法
実際に使用してみて、どのような印象を持たれましたか?
操作が非常に簡単で、訓練がほとんど必要ありません。 これがOBSやvMixと大きく異なる点です。 本当に素人でも扱えるんです。 現地に派遣する技術スタッフへの説明も1回で済み5分くらい操作の説明をしました。 それだけで説明を受けた人が直感的に操作できています。 必要な機能だけがあり、余計な機能がないので、初めての人でも分かりやすい。 これは革命的だと思います。
具体的な運用方法を教えていただけますか?
以前だと、マルチカメラ、スイッチング、音楽、テロップをつけて中継車を出したり、機材を運んだりと少なくとも10人ほどのスタッフでスポーツ配信していましたが、今は驚くべきことに、現地の技術と実況以外は一人で運用が可能になりました。
今回は、現地の実況も行うことにしたので、現地は4名(実況2名、カメラ設置等技術2名)、とちぎテレビ本社では、クラウドから私1名がスイッチャー操作を担当しました(合計5名)。 これにより、キューシートといわれる台本作成や読み合わせのリハーサルが不要になりました。 時間と人員の大幅な削減ができました。 今後、もっと慣れると、更に人を減らしてのアマチュアスポーツの配信が可能になると思います。
今回、利用した機材を教えていただけますか?
また、今回は、現地は、レンタルしたiPhoneとビデオカメラで配信を行いました。 WiFiとモバイル回線を使いました。 とちぎテレビ本社(スイッチャー)はパソコン1台で行いました。
まさに、ここ(取材をおこなった場所)で、配信していました。 特別に会議室等を予約せずに、そのへんの場所でスイッチングできました(笑)
実際に行われたスポーツ配信で工夫なさったことはありますか?
WRIDGE LIVEの新機能のPinPの映像の位置とサイズを自由に変更できる機能を使いました。 スラックラインでは、視聴者にとって秒数表示が重要であるため、現地の秒数表示をそのまま1台のカメラで抜いてPinPで表示させました。 また、音声はピンマイクをiPhoneにBluetoothで飛ばしました。
技術的特徴と利点
WRIDGE LIVEの技術的な特徴や利点はどのような点にありますか?
必要最低限の機能だけがあるのが魅力です。 スイッチング、画作り(ピクチャー・イン・ピクチャー等)、テロップ、VTR送出、BGM再生など、質の高い番組制作に必要な機能が揃っています。 VTR送出一つをとっても、MOB、MP4がPCから普通にクラウドに取り込めるのが本当に楽でした。 テレビ局の機材を用いようとすると本当に手間がかかりますが、USBのデータをPCに刺してクラウドにアップロードするだけです。
あと、テロップの綺麗さには本当に感動しました。 PNGデータが本当にきれいに抜けるんです。 テレビクオリティです。
また、ブラウザベースで動作するため、アプリのインストールが不要な点も大きな利点ですね。 これらの特徴により、私は現時点でWRIDGE LIVEが簡単なスポーツ配信の完成形だと考えています。
課題と解決策
導入時や運用中に何か課題はありましたか?
以前の初回の配信時には、スマートフォンの熱暴走という問題に直面しました。 しかし、2回目の配信では冷却対策を施し、問題なく配信できました。 また、ピンマイクのフェーダー接続位置を間違えるなど、些細なトラブルもありましたが、すぐに解決できました。
また、今回も、スマホの映像とデジカメの映像を混在させたかったがPC経由のデジカメの画が最初は来ませんでした。 しかし設定をいじったら問題なく混在させることができました。 素人でも扱えるという特徴が、このような問題解決にも活きていると感じています。
今後の展望
アマチュアスポーツ以外へのWRIDGE LIVEを用いた配信の可能性について教えてください。
アマチュアスポーツの配信はもちろんのこと、色々と配信できるものがあると考えています。 県民会館や市民会館で行われる有識者によるパネルディスカッションなどは、現地に行けない地域の人も見たいものが多いと思います。 そのような今まではコスト的に合わなかった内容の配信にWRIDGE LIVEを活用したいと思っています。
WRIDGE LIVEに今後期待することを教えてください。
リプレイ機能、トークバック機能の追加を期待しています。
最後にWRIDGE LIVEについて一言お願いします。
WRIDGE LIVEは、マルチな配信としてかなり完成度が高い番組が作れます。 必要な機能が十分にあり、きれいに出せる上に簡単です。 一人で運用できる点も大きいですね。 トラブルが起きても自分でどうにかできそうに思える、そんな使いやすさが魅力だと思います。 繰り返しになりますが、私はこれを簡単なスポーツ配信の完成形だと考えています。
本日はありがとうございました。
とちぎテレビのWRIDGE LIVE導入事例から、地域に密着したコンテンツの配信を低コストで運用できることがわかりました。 素人でも扱える操作性、一人での運用可能性、そして高い完成度を併せ持つWRIDGE LIVEは、地方局やアマチュアスポーツ配信の未来を大きく変える可能性を秘めている。
株式会社とちぎテレビ
宇都宮市昭和2-2-2(本社・スタジオ)